VR/ARアートを快適に楽しむ! 酔いの原因と対策を解説
はじめに:VR/ARアートで「酔い」が心配ですか?
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の世界でアート作品を体験することに興味をお持ちの皆様、こんにちは。「拡張現実美術館」編集部です。
新しいテクノロジーを使ったアート体験は、私たちの感性を刺激し、新鮮な驚きを与えてくれます。一方で、「VRゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ、HMDとも呼ばれます)を使うと酔うって聞くけど大丈夫かな?」「ARアプリを使っても酔うことがあるの?」といったご不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。特に、はじめてVR/ARアートに触れる方にとって、「酔い」は大きなハードルの一つかもしれません。
ご心配はごもっともです。実は、VR/AR体験における「酔い」は、誰にでも起こりうる現象であり、決して珍しいことではありません。しかし、その原因を知り、適切な対策を講じることで、多くの場合、酔いを軽減したり、避けることが可能です。
この記事では、VR/ARアート体験における「酔い」の主な原因を初心者の方にも分かりやすくご説明し、そして何よりも、皆様が安心して作品を快適に楽しめるようになるための具体的な対策をご紹介します。この記事を読んで、不安を少しでも減らし、新しいアート体験への一歩を踏み出していただければ幸いです。
なぜVR/ARアートで「酔う」ことがあるのか? 簡単な仕組み
VR/AR体験で「酔う」主な原因は、私たちの体が見ているものと、体が実際に感じている感覚との間に「ズレ」が生じることです。これを「感覚の不一致」と呼びます。
具体的には、
- 視覚情報と体の揺れ(平衡感覚)のズレ: VR/AR空間の中で、映像が激しく動いたり、急な方向転換をしたりする場合、あなたの目はその動きを捉えます。しかし、現実の体は椅子に座っていたり、ほとんど動いていなかったりします。この、目が見ている「動いている」という情報と、体が感じている「動いていない」という情報の不一致が、脳を混乱させ、乗り物酔いに似た不快な症状(吐き気、冷や汗、めまいなど)を引き起こすと考えられています。
- 映像の遅延: デバイスの性能やインターネット環境によっては、あなたの頭や体の動きに合わせてVR/AR空間の映像がスムーズに追従しない場合があります。この映像の「遅れ」も、視覚と体の感覚のズレを生み出し、酔いの原因となります。
ARの場合は、現実世界の上にデジタル情報が重なるため、VRほど強く酔うことは少ない傾向にありますが、スマートフォンの画面を見ながら歩き回る、画面内のオブジェクトが激しく動くといった場面で、やはり感覚のズレから酔いを感じることもあります。
VR/ARアート体験を快適にするための具体的な対策
それでは、この感覚のズレを最小限に抑え、快適にVR/ARアートを楽しむための具体的な対策を見ていきましょう。体験前、体験中、体験後に分けてご紹介します。
体験前にできること
- 体調を整えましょう: 体調が悪い時や寝不足の時は、酔いやすくなります。十分な睡眠をとり、体調の良い時に体験するようにしましょう。また、空腹すぎたり、逆に満腹すぎたりするのも良くない場合があります。軽く何かを食べてから体験するのがおすすめです。
- リラックスした状態で臨みましょう: 不安や緊張も酔いを助長することがあります。深呼吸するなど、リラックスして体験を始めるように心がけましょう。
- 体験する環境を整えましょう: 特にVRの場合、周囲の安全確保が重要です。体験中に物につまずいたり、ぶつかったりしないよう、十分なスペースを確保し、障害物がないか確認してください。安全な環境は、体験中の無意識の緊張を減らし、酔いの軽減にも繋がります。
体験中に意識すること
- 短い時間から始め、こまめに休憩を取りましょう: はじめてVR/AR体験をする際は、一度に長時間体験せず、まずは10分~15分程度の短い時間から試してみましょう。少しでも気分が悪くなったり、疲れたりしたら、すぐにデバイスを外して休憩を取ることが大切です。無理は禁物です。
- 視線と体の動きを連動させましょう: VR空間内で移動する際、特に視点移動が多い作品では、急な動きや不自然な移動を避けましょう。できるだけ現実世界で歩くように、視線の方向へ体を向けてから移動するなど、体の動きと視覚情報を一致させるように意識すると、酔いを軽減できることがあります。座って体験できる作品や、視点移動が少ない(景色を見るなど)作品から試すのも良いでしょう。
- 外部の基準点を持つ: VRゴーグルを装着していると、外界の情報が遮断されてしまいますが、意識的に外部の基準点を思い出すことで、感覚のズレを和らげられることがあります。例えば、座っている椅子の感触を意識したり、(可能であれば)ゴーグルの鼻の部分の隙間から足元や現実の床を少し見たりすることも、人によっては効果があります。
- 無理だと感じたらすぐに中断しましょう: 少しでも酔いを感じ始めたら、我慢せずにすぐに体験を中止してください。無理して続けると、症状が悪化するだけでなく、その後のVR/AR体験そのものに苦手意識を持ってしまう可能性があります。「いつでもやめて良い」という気持ちで臨むことが大切です。
体験後に試せること
- デバイスを外して静かに休憩しましょう: 体験後すぐに立ち上がったりせず、しばらく座ったり横になったりして体を休めましょう。
- 遠くの景色を見る: VR/AR空間から現実世界に戻った後、しばらく遠くの景色や広い空間を見ることで、視覚の焦点をリセットし、感覚を落ち着かせることができます。
- 水分を補給しましょう: 体験で疲れた体に水分を補給することも大切です。
- 酔い止め薬の使用を検討する: どうしても酔いが心配な場合は、体験前に市販の乗り物酔い止め薬を服用することも選択肢の一つです。ただし、効果や副作用には個人差がありますので、使用する際は必ず添付文書をよく読み、必要であれば医師や薬剤師に相談してください。
まとめ:不安を乗り越えて、新しいアート体験へ
VR/ARアート体験における「酔い」は、視覚と体の感覚のズレによって引き起こされる、多くの人が経験しうる現象です。しかし、この記事でご紹介したように、体験前の準備、体験中の意識、そして体験後のケアによって、そのリスクを減らし、快適に楽しむことが十分に可能です。
まずは、移動や視点操作が少ない、比較的ゆっくりとしたインタラクションの作品から試してみることをお勧めします。体験時間も短いものから始め、ご自身の体調と相談しながら少しずつ慣れていくのが良いでしょう。
「酔うかも…」という不安だけで、素晴らしいVR/ARアートの世界に触れないのは、非常にもったいないことです。今回ご紹介した対策を参考に、ぜひ安心してVR/ARアート体験への一歩を踏み出してみてください。きっと、これまで経験したことのない感動や発見があなたを待っているはずです。
もし、この記事を読んでもまだ不安が残る、あるいは体験してもどうしても酔ってしまうという場合は、一度体験場所のスタッフに相談してみたり、比較的酔いにくいとされる特定のデバイスや作品について情報を集めてみるのも良いでしょう。
あなたのVR/ARアート体験が、快適で素晴らしいものとなることを願っています。